夏への扉

既に読んでしまった本を、ついうっかりまた買ってしまうってこと、ありませんか?実は私、この失敗を何度も繰り返しています。読んだことをすっかり忘れて同じ本を2度買うこともあれば、以前と本の表紙が変わったり、出版社や翻訳者が変わってタイトルが別になってたりしていることに気付かずに、別の本だと思い込んで買ってしまう場合もあります。

それがミステリだったりすると、数ページ読み進んだところで「あ、犯人が分かる気がする!私って天才♪」などと喜び、更に数ページ読み進んで「げっ、前に読んだことある本だぜ!」と気が付いて落ち込むなんてことになるわけです(笑)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

ロバート・A. ハインライン / 早川書房


夏への扉[新訳版]

ロバート・A・ハインライン / 早川書房





 
この「夏への扉」も、文庫版と新訳版単行本の2冊を持っているのですが、これはうっかりではなく、確信的に2冊購入した珍しい本です。

舞台は1970年12月。主人公は11ものドアがある(猫専用を入れると12)家に住んでいる技術屋のダンと、その飼い猫ピート。ピートは冬になると決して自分専用のドアを使わず、別のドアを開けるようにダンに命令する。ピートは、たくさんあるドアのどれかは必ず夏につながっていると確信していて、次々に別のドアを開けないと納得しない。でも、夏への扉が必要なのはダンも同じ。何故なら、恋人と親友に裏切られ、大切な自分の会社と仕事を一度に失って、心の中が真冬並みの寒さだったから。そんなダンが、恋人と親友に復讐するために、冷凍睡眠を利用して未来へ行くことを思いついて・・・。

と、まあこんな風に始まるSFの古典。

書かれたのが1956年(おぉ、私の生まれた年だ!)で、その当時は、舞台となる1970年もダンが冷凍睡眠から目覚める2000年も未来の話だったわけだけど、上の2冊のうち文庫版(福島正実訳)が出版されたのは1979年だから、たぶん私が初めてこの本を読んだのは1980年代で、舞台となった時代は過去になっていたけど、2000年はまだ遠い未来だったはずです。まだ、コンピュータとか携帯電話なんて、想像の外にあった時代。だから、主人公が「僕は2000年が好きだ!未来はいつだって明るい!風邪ひいて鼻水垂らしてる人なんて一人もいないし♪」なんて呑気なことを言っても、そうかぁ、そうだよなぁ~と共感しながら読めたのでした。

さて、新訳版が出版されたのは去年。

もう既にこの作品が書かれて半世紀。1970年代はおろか、2000年だってずいぶん昔のような気がするこの頃です。今となっては、作者ハインラインが思い描いていた未来の世界と、実際の2000年にはずいぶんギャップがある(だって、小説の中の2000年には重力ナントカ装置というのがあって、どんなに重いものも空中に浮かべてツンッと押すだけで動かせたり、素晴らしい万能ロボットがいたりするのに、主人公は電話帳を探してからアパートの1階まで降りて電話をかけたりするのです…)のがはっきりして、SF小説としては魅力が半減したと言っても良いぐらいなのに、何故に今になって新訳?しかも、翻訳した小尾芙佐さんは、あの「アルジャーノンに花束を」の翻訳者!

これは、読まずにはいられまい!ということで、あえて同じ本の2冊目を購入したわけです。長~い説明になってスミマセン。でも、新訳を読んで良かったです。すごい傑作!とは思わないけど、時が経っても色あせない名作だなぁと実感できたので。人間が未来を想像する時に、思い描ける進歩と、そうじゃないものがあるんだなぁということも、なんだかとっても腑に落ちたしね。

でも、明日は今日よりずっといい日になる。誰にでも夏への扉はある。とはなかなか思えないのだが(笑)
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by pagimaro | 2010-06-30 17:43 | Book


心にうつりゆくよしなしごと


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